STP分析のやり方|記入例とポジショニングの検証方法

2026年5月2日

著者: 与謝秀作
STP分析のやり方|セグメント・ターゲット・ポジショニング解説

STP分析は、市場を分けるSegmentation、狙う顧客を選ぶTargeting、選ばれる理由を決めるPositioningをつなぐ方法です。完成物は市場をきれいに分類した図ではなく、「誰のどの課題を、どんな理由で自社が解決するか」という選択です。

まず利用場面と顧客の困りごとを集め、セグメントの仮説を作ります。次に自社が提供できる価値と採算で対象を選び、顧客がその違いを評価するか確かめます。以下は実在企業の実績ではなく、架空の業務ソフト「青葉ツール」を使った記入例です。

STPの3段階と必要な成果物

段階

決めること

成果物

S:市場を分ける

課題・用途・制約が似ている集団

候補と違いの一覧

T:対象を選ぶ

どの集団を優先するか

選定理由と見送る理由

P:選ばれる理由

顧客から見た代替案との違い

提供価値の一文と検証計画

年齢や企業規模だけでは、買う理由が同じとは限りません。B2Bなら利用部門、承認手続き、既存システム、導入時の負担も確認します。担当者が喜ぶ機能と、決裁者が必要とする証拠を分けて考えましょう。

1.調査結果と仮説を分けて市場を区切る

青葉ツールが「表計算による作業報告をまとめる時間を減らすソフト」を検討するとします。顧客への聞き取り、問い合わせ、失注理由から候補を作ります。架空例にある需要を市場全体の統計として扱わないでください。

候補

想定する課題

制約・代替案

実際に確かめること

小規模製造業

現場ごとの報告集計

紙・表計算、導入支援が必要

集計頻度と担当者の負担

多店舗小売

店舗ごとの報告形式が違う

本部承認、端末の制約

共通化できる項目

大企業の一部門

既存システムとの二重入力

セキュリティ審査、連携

導入条件と代替の費用

「製造業だから困っているはず」ではなく、誰が、いつ、何に困ったという観察を残します。推測は推測と書き、根拠のない市場成長率で魅力度を高くしないようにします。

2.魅力度と対応能力で優先対象を選ぶ

評価軸

確認する資料

判断例

課題の強さ

現在の手間、失敗の影響

解決を先送りできないか

支払意思・採算

見積反応、支援工数

売上だけでなく提供費用を回収できるか

到達可能性

接点、紹介経路、営業期間

実際に顧客へ話を聞けるか

自社の適合

必要機能、担当、実装負担

約束した範囲を提供できるか

検証可能性

試用条件、評価者、期限

小さな検証から始められるか

この例では、導入支援を提供でき、顧客接点もある小規模製造業を初回検証の対象にします。これは「STPでは必ず1セグメントだけを選ぶ」というルールではありません。複数を扱う場合は、訴求、提供方法、費用と担当が混ざらないようにします。

3.顧客が評価する軸でポジショニングする

「高機能・低価格」だけでは、競合と同じ表現になりがちです。青葉ツールなら「紙や表計算で報告を集めている小規模製造業に、現場の入力項目を絞り、導入時の設定支援を付けた集計方法を提供する」という仮説を作れます。

ただし、これを優位性として公表する前に、実際に提供できる範囲と顧客が評価する理由を確かめます。戦略上のポジショニングでは、選択に伴う活動やトレードオフも重要です。あらゆる業種への個別開発まで約束すると、同じ支援体制では採算が変わります。

ポジショニングマップを作るなら、軸は顧客の比較基準から選びます。空いている場所があっても、需要がある証拠にはなりません。「支援の厚さ」と「初期設定の自由度」が候補なら、顧客がその二つを実際に比較しているか聞きます。

4.仮説を顧客に確かめ、施策へつなぐ

  • 直近で作業報告を集めたとき、どこに時間がかかりましたか。
  • 現在の方法を変えると、誰の承認や協力が必要ですか。
  • 他の方法を検討しましたか。選ばなかった理由は何ですか。
  • 設定支援と自由なカスタマイズでは、どちらをどの場面で重視しますか。
  • 試すとしたら、何が確認できれば継続を判断できますか。

「この製品は便利ですか」だけでなく、過去の行動と変更条件を聞きます。LPは対象の課題と支援範囲を示し、営業資料は導入手順と制約を説明するなど、選んだ価値を施策に反映します。

記入シートと見直し条件

対象顧客__/主な課題__/現在の代替案__/選ばれる理由の仮説__/裏付け__/提供しない範囲__/検証方法・担当・期限__を一枚にまとめます。

3C分析は顧客・競合・自社の材料を整理し、STPはその材料から選択を行い、4Pは選択を施策に落とします。受注だけでなく失注理由、導入負担、継続利用を振り返り、課題や提供能力の前提が崩れたときに対象と訴求を見直してください。

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出典・確認先

公開資料の確認日:2026年10月1日。本文の記入例・試算は、明記したものを除き編集部が作成した説明用の例です。

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