ROIとは?利益と費用範囲で変わる計算式・ROASとの違い

2026年3月28日

著者: 与謝秀作
ROIとは?計算式・ROASとの違い・マーケティングROIの高め方を解説

ROI(Return on Investment)は、投資に対してどれだけの利益が得られたかを示す指標です。基本は投資による純利益÷投資額×100ですが、何を投資額に含めるかで値が変わります。広告費だけを分母にする場合と、商品原価を含む総費用を分母にする場合を混ぜないことが重要です。

売上÷広告費で求めるROASとは異なります。売上が多くても、原価や獲得費用がそれ以上ならROIはマイナスです。以下はマーケティング施策を評価するための管理上の例であり、財務会計上の利益と必ず一致するものではありません。

まず費用の範囲を固定する

記号

内容

例

R

対象となる売上

返品・値引き調整後の売上

V

商品・提供に伴う変動費

原価、配送、決済、変動する提供費

M

対象のマーケティング投資

広告、制作、運用など今回含める費用

P

施策評価上の純利益

R−V−M

マーケティング投資に対するROIは、P÷M×100で計算できます。総費用に対するROIならP÷(V+M)×100です。どちらも分母の定義を添え、同じ会議や比較表では統一します。制作費をMに含めたうえで、Pから二度引かないようにしてください。

同じ売上でもROIとROASは違う

以下は架空の施策です。売上500万円、原価などの変動費250万円、広告費150万円、制作・運用費50万円とします。広告経由売上として500万円を用いる前提です。

指標

計算

結果

施策評価上の純利益

500−250−150−50

50万円

マーケティングROI

50÷(150+50)×100

25%

総費用基準のROI

50÷(250+150+50)×100

約11.1%

広告費基準のROAS

500÷150×100

約333.3%

ROI25%は、対象投資200万円に対して利益50万円を残したという意味です。ROIがプラスになる条件は、その費用範囲で純利益が0を上回ることです。「利益が投資額より大きくないとプラスにならない」わけではありません。

変動費率が一定50%、マーケティング投資200万円なら、損益分岐の売上は200万円÷50%=400万円です。ただし販売量で原価率や対応費が変わる場合、この単純式も見直します。

ROIが高い施策をすべて拡大すればよいか

必ずしもそうではありません。既存顧客への小規模な施策は高いROIでも拡大余地が小さいことがあります。一方、新規市場の施策は初期費用が先行し、回収まで時間がかかります。

比較表にはROIだけでなく、利益額、必要投資額、回収期間、追加投資時の見通しを置きます。次の100万円をどこへ配分するかという判断では、過去全体の平均より、追加投資で増える利益を見積もることが重要です。

帰属売上と増分売上を区別する

広告媒体が成果として計上した売上には、広告がなくても発生した購入が含まれる可能性があります。また、複数媒体で同じ注文が計上されることもあります。媒体の売上を合計して、会社の売上と見なさないでください。

通常のレポートは「帰属ルールに基づくROI」、比較群を設けて推定した追加利益なら「増分ROI」と、分析の前提を区別します。過去の前後比較しかできない場合は、季節性や価格変更の影響を含む推計であると説明します。

月次で使う確認手順

  1. 対象施策・顧客・期間を決め、注文と売上のデータをそろえる。
  2. 原価、返品、運用費、制作費、人件費のうち含める範囲を明記する。
  3. 売上と費用の時期を合わせる。長期商談は獲得月別に追う。
  4. 実績と予測を分けて計算し、ROASやCPAも補助指標として見る。
  5. 利益額と回収期間を確認し、追加・継続・縮小の理由を残す。

LTVを使う場合も、将来売上を確定利益のように扱わないことが大切です。解約率・粗利率の仮定を変えた低位・基準・高位のシナリオを作り、資金繰りを含めて判断しましょう。

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