マーケティングファネルの作り方|AIDA・AISASと指標設計
2026年5月7日
著者: 与謝秀作
マーケティングファネルは、認知や関心から購入などへ至る過程を整理し、どこに支援や改善が必要か考えるモデルです。ただし、すべての顧客が同じ順に進むわけではありません。比較へ戻る人、別の担当者を連れてくる人、購入せず情報だけ利用する人もいます。
心理を理解するモデルと、観測できる行動を集計するレポートは分けて作ります。ページを見たことを、そのまま「興味を持った」「購入意欲が高い」と判断しないことが出発点です。
AIDA・AISASをどう使うか
モデル | 要素 | 活用する問い |
|---|---|---|
AIDA | Attention、Interest、Desire、Action | 注意から行動まで、説明が何を支援するか |
AISAS | Attention、Interest、Search、Action、Share | 検索や共有を含む接点をどう用意するか |
実測ファネル | 入口、CTA、開始、成功など | 観測した行動のどこで進まなくなるか |
AISASは日本の電通が提唱したモデルとして扱い、SIPS発表資料にある関係性の説明も参照できます。AIDAを衝動買い専用、AISASをすべての非直線行動を説明する万能モデルとはしません。
モデルは調査や制作を助ける地図です。SNSで共有しない顧客や、検索せず紹介から購入する顧客が欠陥のある行動をしているわけではありません。
実務では行動と計測条件を定義する
架空の資料請求サイトを例にします。期間内に記事へ入った1,000セッションを起点とし、同じセッション内で順に到達した件数を数える設計です。複数回の操作は各段階で重複排除します。
段階 | 件数 | 前段階からの率 | 確認すること |
|---|---|---|---|
入口 | 1,000 | — | 対象ページ・流入条件 |
CTAクリック | 100 | 10% | 同じ対象内のクリック |
フォーム開始 | 80 | 80% | 表示でなく開始の定義 |
正常完了 | 40 | 50% | 成功応答と重複排除 |
全体の完了率は40÷1,000=4%です。これは個人40人や受注40件を意味しません。ユーザー単位、セッション単位、イベント件数のどれを使うかをそろえます。別の日の再訪を含めるなら、その集計方法を別に設計します。
落ちた段階だけで原因を決めない
観測 | 仮説 | 確かめること |
|---|---|---|
CTAまで進まない | 提案が合わない・見つけにくい | 対象読者、配置、内容 |
CTA後に開始しない | リンク先の期待と違う・不具合 | 端末別の到達とフォーム |
開始後に完了しない | 入力負担・エラー・条件不一致 | 項目別の失敗と正常送信 |
完了しても有効相談が少ない | 課題や対象がずれる | 相談内容、重複、営業売込 |
離脱率だけから心理を断定せず、観察、問い合わせ、インタビュー、実装テストを組み合わせます。法令や運用上必要な項目を、完了率だけのために無条件で削除するのも避けます。
顧客の戻り道と複数人の検討を扱う
B2Bでは利用者と決裁者が異なり、同じ企業から複数の人が資料を読むことがあります。匿名のアクセスを無理に一人の購買経路へつなげず、計測できる範囲と本人から得た情報を分けます。
比較表から基礎解説へ戻れる導線、社内説明に使える資料、条件を確認できる問い合わせ先を用意します。継続利用や再購入を目的にするなら、購入後の行動も別のモデル・指標として設計してください。
ファネル設計シート
目的__/対象と入口__/集計単位__/各段階の成功条件__/順序条件__/対象期間・追跡期間__/除外・重複__/計測の欠落__/仮説__/施策__/担当・確認日__を記入します。
改善では一つの段階の率だけでなく、最終の有効問い合わせや売上、対応工数も確認します。CTAを増やして誤クリックだけ増えた場合は成功とはいえません。モデルを読者理解に、計測を行動確認に使い、両者を往復して改善しましょう。
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出典・確認先
公開資料の確認日:2026年10月1日。本文の記入例・試算は、明記したものを除き編集部が作成した説明用の例です。


