カスタマージャーニーマップとは?作り方5ステップと記入例・テンプレート
2026年3月25日
著者: 与謝秀作
カスタマージャーニーマップとは、顧客が課題に気づき、情報を集め、比較し、購入・利用するまでの行動や疑問を整理した図表です。接点ごとに不足している情報や負担を見つけ、改善の優先順位を決めるために使います。
精密な図を作ること自体が目的ではありません。最初は1つの顧客像と1つの利用場面に絞り、事実と仮説を区別した表を作れば十分です。
マップに入れる基本項目
項目 | 書く内容 |
|---|---|
段階 | 課題認識、情報収集、比較、購入、利用など |
行動 | 顧客が実際にすること |
接点 | 検索、Webサイト、営業、店舗、メールなど |
疑問・期待 | その時点で知りたいこと、実現したいこと |
困りごと | 行動を止める不安や負担 |
根拠 | インタビュー、ログ、問い合わせなど |
改善案 | 次の行動を助ける情報や機能 |
感情を「不安→期待→満足」と滑らかに並べるだけでは、実務に使いにくくなります。「料金表に初期費用がなく、総額がわからない」のように、具体的な理由まで書きます。
作り方1.目的と対象を絞る
「なぜ購入に至らないか」「初期設定の離脱を減らしたい」など、解決したい問題を決めます。新規顧客と既存顧客、個人購入と法人契約を1枚で扱うと、必要な情報が混在します。
たとえば「少人数のマーケティング担当者が、毎月のレポート作成を効率化するツールを選ぶ」という状況に絞ります。人物像には、意思決定に関係する役割、課題、制約を中心に記載します。
作り方2.顧客の言葉と行動を集める
営業やサポートの記録、インタビュー、検索語句、アクセスデータなどを集めます。社内の想像だけで作る場合は、すべてを事実として扱わず、未検証の仮説と記します。
インタビューでは、誘導的な「料金が不安でしたか」より、「比較するときに何を確認しましたか」「申し込む前に迷ったことは何でしたか」のように、行動の順序と理由を聞きます。
作り方3.段階ごとに情報を並べる
以下は説明用の架空の記入例です。実際の顧客調査を示すものではありません。
項目 | 課題認識 | 情報収集 | 比較・社内検討 | 試用・導入 | 継続利用 |
|---|---|---|---|---|---|
行動 | 集計作業の負担を感じる | 方法やツールを検索 | 料金・連携媒体を比較 | データを接続し試す | 定例会議で使う |
疑問 | どの作業を減らせるか | 自社でも使えるか | 総額と必要機能は何か | 初月から再現できるか | 数字を判断に使えるか |
接点 | 社内の作業記録 | 解説記事・サービスサイト | 料金表・デモ・上司 | 設定ガイド・支援窓口 | レポート・サポート |
障害の仮説 | 負担を数字で説明できない | 機能の違いがわからない | 費用の説明材料が足りない | 接続時につまずく | 指標の定義が共有されない |
改善案 | 作業時間の記録表 | 用途別の比較表 | 総額と条件を示す資料 | 初期設定チェックリスト | 指標定義と活用例 |
顧客は表の左から右へ一直線に進むとは限りません。比較から情報収集へ戻る、複数人で別々に調べる、紹介から直接試用することもあります。表は代表的な流れを整理する道具として使います。
作り方4.根拠を付け、仮説を検証する
「料金がわからず離脱した」という仮説なら、料金に関する問い合わせ、ページの閲覧、インタビューを照合します。ページからの離脱だけで、その人の気持ちまで断定はできません。
事実には確認日と出典、仮説には確認方法を付けます。データの使い方はカスタマージャーニーをデータで検証する方法で詳しく説明しています。
作り方5.改善の担当と期限を決める
すべての接点を一度に変える必要はありません。顧客への影響、根拠の強さ、実施の負担を比較し、取り組む課題を絞ります。
課題 | 作業 | 担当の例 | 確認する変化 |
|---|---|---|---|
総額が伝わらない | 初期費用・追加費用を料金表に記載 | 商品・Web担当 | 同種の問い合わせと申込の変化 |
設定で止まる | 手順とエラー時の案内を改善 | サポート担当 | 設定完了率と完了までの時間 |
社内説明が難しい | 検討条件を整理した資料を作る | 営業担当 | 検討中の疑問や次の商談への進み方 |
改善後に問い合わせが減っても、訪問者数自体が減っていないかなど、別の要因も確認します。原因と結果を確かめる場合は、可能な範囲でABテストなどを設計します。
コピーして使える空欄テンプレート
まず対象顧客・利用場面・検討する課題を書き、その下に次の表を作ります。段階名は自社の実態に合わせて変更してください。
項目 | 認知 | 情報収集 | 比較 | 購入・申込 | 利用 |
|---|---|---|---|---|---|
行動 | 未記入 | 未記入 | 未記入 | 未記入 | 未記入 |
疑問・期待 | 未記入 | 未記入 | 未記入 | 未記入 | 未記入 |
接点 | 未記入 | 未記入 | 未記入 | 未記入 | 未記入 |
困りごと | 未記入 | 未記入 | 未記入 | 未記入 | 未記入 |
根拠・確認日 | 未確認 | 未確認 | 未確認 | 未確認 | 未確認 |
改善案・担当 | 未記入 | 未記入 | 未記入 | 未記入 | 未記入 |
よくある失敗
営業・広告などの社内部門の都合で段階を作ると、顧客が知りたい情報が抜けやすくなります。また、少数の声をすべての顧客に当てはめるのも避けたいところです。購入しなかった人や、利用をやめた人の情報も確認しましょう。
マップは作成時点の仮説を含む資料です。新しい商品、価格、販売方法に変わったときや、顧客の行動に変化があったときに更新します。更新の責任者と日付を決めることで、会議用の図で終わらず、改善の共通資料として使い続けられます。


